新人を受け入れる技術
はじめに

この本の使い方

読了目安 8

この章を読むとできるようになること
  • 自分が今どの立場でこの本を読むべきか判断できる
  • 新人側の教科書と対応させて読める

この本は、新人やインターンを受け入れる側のための教科書です。

コードが書けることと、人を立ち上げられることは、別のスキルです。 前者がどれだけ得意でも、後者は自動的にはついてきません。 そして多くの現場では、後者を教わる機会がないまま「じゃあ面倒見て」と言われます。

この本は、その「面倒を見る」の中身を分解して書いたものです。

誰のための本か

  • 新人・インターン・中途の受け入れを担当することになった人
  • チームにメンター制度を作ろうとしている人
  • 過去に受け入れがうまくいかず、原因が分からなかった人

役職は問いません。入社2年目でも、3ヶ月後に入ってきた人から見れば先輩です。

もう一冊の本との関係

この本には対になる教科書があります。新人側が読む 「プログラマのための IT 教科書」です。

新人側の本この本
読む人入ってきた人迎える人
扱うものシェル、Git、ネットワーク、Go…準備、教え方、タスク、レビュー、1on1
目的自分で動けるようになる相手が自分で動けるようにする

新人がどこで詰まるかを具体的に知りたい時は、新人側の本を読んでください。 受け入れる側が一度自分で通してみるのが、一番早く実態をつかむ方法です。 「これは1日で終わるだろう」と思っていた章が、実はそうでもないことに気づきます。

新人側の本を教材として渡す時

渡すだけでは読まれません。「あちらの本の第1部を今週中に」のように範囲と期限を区切って渡し、 1on1 で「どこが分からなかったか」を聞いてください。 分からなかった箇所は、あなたのチームの説明が足りていない箇所とだいたい一致します。

この本の立場

3つの前提を置いています。

1. 立ち上がりの速さは、本人の能力より環境で決まる

同じ人でも、環境構築ドキュメントが整っているチームと、 口伝で伝わるチームとでは、最初の1ヶ月の進み方がまったく違います。 「あの子は優秀だ/そうでもない」という評価の何割かは、実は受け入れ側の準備の差です。

2. 教えないことも設計する

全部教えるのは親切ではありません。情報を出しすぎると、何が重要か分からなくなります。 何を教え、何を意図的に教えないかを決めるのが設計です。

3. 正解は1つではないが、明らかな失敗はある

「答えを教えるべきか」のような問いに唯一の正解はありません。状況によります。 一方で、3日詰まっているのに誰も気づかないレビューが1週間返らない最初のタスクがドキュメント修正だけで2週間—— これらは状況によらず失敗です。この本は、まず明らかな失敗を潰すことを優先します。

どこから読むか

状況読む場所
受け入れが決まった。まだ来ていない第1部・第2部
もう来ている。今まさに教えている第3部・第4部
レビューや 1on1 のやり方に迷っている第5部
うまくいっていない感触がある第6部
自分の負担が限界に近い第7部

順番に読む必要はありません。今困っているところから読んでください。

この本を読む時間がない、と感じたら

それは正しい感覚です。受け入れは、忙しい時期に限って発生します。

ただ、準備に使う数時間と、準備しなかった場合に後から溶ける時間とでは、 後者の方がはるかに大きくなります。第1章はその話です。

読み終わったら記録しておくと、目次で進み具合が分かります。